世界の遊園地はどう進化している? 海外テーマパーク最新トレンド5選

この記事のまとめ

海外テーマパークの進化は、単なる新アトラクションの追加を超えて、パーク全体の設計思想や収益構造の変化にまで及んでいます。本記事では、世界の遊園地の最新トレンドを次の5つの視点で紹介します。

  • オーランドや中東での大型新規パークの開業ラッシュ
  • 映画・ゲームの知的財産(IP)を軸にした没入型ランド化の加速
  • ドローンやインタラクティブ・デバイスによる体験革新
  • 有料ファストパスなど来園体験のDX化と客単価向上
  • サステナビリティと業界表彰による評価軸の変化


海外テーマパーク業界の現在地


コロナ禍からの完全回復と市場規模

海外テーマパーク業界は、コロナ禍による打撃を経て、来場者数が安定した成長軌道へ戻りつつあります。

2023年は大きく回復し、2024年は落ち着いた成長に移りました。2022年から2023年にかけて、世界上位25のテーマパーク合計の来場者数は前年比23%増と大きく伸び、なかでも中国のパークが78%増と最大の伸びを示しました(参照*1)。続く2024年には、同上位25のパークの合計来場者数は約2億4,600万人で、前年比2.4%増となりました(参照*2)。

この推移は、回復期の急伸から、成熟市場と成長市場が混在する通常運転のフェーズへ移ったことを示しています。成長率だけで判断せず、市場ごとの成熟度をあわせて見ることが、進化とトレンドを読み解く出発点になります。


地域別に見る成長格差

海外テーマパーク市場は、地域によって成長のスピードとドライバーが大きく異なります。

2024年は、成熟市場が横ばいから小幅な変動にとどまる一方、中国の国際ブランド系パークが伸びました。世界上位パークでは、アメリカ、日本、西ヨーロッパといった成熟市場のパークが横ばいから小幅な変動にとどまった一方、中国で展開する国際ブランドのパークは記録的な水準となりました(参照*2)。アジア太平洋地域の中でも、日本はテーマパークの成熟市場として他国の参考モデルとされ、2024年は円安によって国内への旅行がより手頃になり、観光客が大量に流入したと紹介されています(参照*3)。

つまり、成熟市場は既存パークの磨き込みで来場を維持し、新興市場は新規開業と国際ブランド導入で伸ばす、という二層構造が明確になっています。トレンドを比較するときは、同じ指標でもどの地域の話かを区別して読むことが欠かせません。


進化を促す3つの外部要因

海外テーマパークの進化は、パーク単体の努力だけでなく、外部環境の変化にも押し出されています。

新規投資や再来園施策、旅行需要、通貨動向が来場に影響しています。多くの施設は日常への回帰を目指し、新アトラクションや展示、再来園の動機付け、特別イベントを通じて来場者を呼び戻し、その多くが成功をおさめました(参照*1)。さらに2024年の日本では、円安によって旅行がより手頃になり、観光需要が押し上げられたと紹介されています(参照*3)。

こうした要因の重なりは、コンテンツ投資、旅行需要、通貨動向という3つの軸が、進化の速さと方向を左右していることを示唆します。トレンドの持続性を測るには、パーク側の施策と外部条件をセットで見る視点が有効です。


トレンド1: 大型新規パークの開業ラッシュ


オーランド25年ぶりの新規開業

近年の海外テーマパークのトレンドを象徴するのが、大規模な新規開業の再来です。

ユニバーサル・オーランド・リゾートでは、25年ぶりの大型新規パークが開業しました。開業したのは、新パーク「ユニバーサル・エピック・ユニバース」です(参照*4)。また、全米プロモーションでは、パークの象徴である高さ30フィートのゲート「クロノス」を中心に、セレスティアル・パーク、ハリー・ポッターの魔法界(魔法省)、スーパー・ニンテンドー・ワールド、ヒックとドラゴンの島バーク、ダーク・ユニバースという5つの世界が紹介されました(参照*5)。

5つの世界を1つのパーク内に束ねる構造は、既存パークの拡張とは異なる規模の投資を必要とします。単なる新設ではなく、既存リゾート全体の周遊価値を引き上げる装置として捉えると理解しやすくなります。


中東・サウジアラビアの躍進

海外テーマパークの新規開業は、北米だけでなく中東でも大型化が進んでいます。

サウジアラビアでも、中東最大級の水系テーマパークの開業が予定されています。キディヤ・シティは2つ目のエンターテインメント施設として、中東最大の水系テーマパーク「アクアラビア・キディヤ・シティ」を2026年4月23日に正式オープンする予定です。同パークは25万平方メートルを超える敷地に、サウジアラビア固有の野生動物や景観をモチーフとした8つのテーマゾーンを設け、22のライドや体験、4つの世界記録級アトラクションを備えます(参照*6)。

北米での既存ブランドによる大型開業と、中東でのゼロからの都市規模開発は、進化のベクトルが異なる好例です。海外テーマパークのトレンドを追うときは、開業件数だけでなく、どの地域がどの規模で参入しているかも合わせて見ることが有効です。


トレンド2: IPコンテンツによる没入型ランド化


映画・ゲームIPを軸にした世界観構築

海外テーマパークの進化を語るうえで欠かせないのが、映画やゲームなどの知的財産(IP)を軸にした没入型ランドの拡大です。

没入型ランド化は、主要パークの拡張計画でも前面に出ています。エピック・ユニバースは5つの世界で構成される新パークとして開業しています(参照*7)。マジック・キングダムではディズニー・ヴィランズと、ディズニー&ピクサーの「カーズ」の世界観を取り込む、同パーク史上最大規模の拡張が計画されています(参照*8)。ニッセイ基礎研究所は、エピック・ユニバースを空間全体の作り込みで来場者を物語世界へ入り込ませる、傍観型に近い没入体験と整理しています(参照*9)。

IPを軸にしたランド化は、ライド単体の話ではなく、空間・音・光・物語をひとつのブランド世界として束ねる設計思想の変化です。どのIPが選ばれたかよりも、どこまで世界観を作り込んでいるかを比較する視点が役立ちます。


パリ・上海に見るローカル戦略

IP活用の進化は、各地域の文化に寄り添うローカライズという方向にも広がっています。

パリでは地域文化との接続、上海では世界的な評価獲得が見られます。ディズニーランド・パリは、ディズニーらしさと物語の力を保ちつつ、ローカルおよびヨーロッパ文化に深く根ざした変革を進めているとしています(参照*10)。また、TEAが主催する業界表彰「ティア・アワード」では、LEGOLAND上海がテーマパーク部門の受賞対象に選ばれました(参照*11)。

パリと上海の事例は、グローバルIPと地域文化をどう組み合わせるかで、進化の顔つきが変わることを示しています。トレンドを追う際は、IP名だけでなく、その土地ならではの解釈が加わっているかを見ると理解が深まります。


トレンド3: 最先端テクノロジーによる体験革新


ドローン・プロジェクションマッピングの進化

夜のショーは、海外テーマパークの技術進化がもっとも見えやすい舞台になっています。

ディズニーランド・パリでは、機材と演出の重層化が進んでいます。新しい夜のスペクタクル「ディズニー・テイルズ・オブ・マジック」では、15基のウルトラカラーレーザー、60基の最新世代スポットライト、200基を超える建築用LEDプロジェクター、新しい没入型音響システムに加え、火薬効果や噴水演出、ストロボ、そして公式技術パートナーのDronisosと連携したドローンが投入されました(参照*12)。別発表では、この20分の夜間ショーが、花火、噴水、最先端技術を組み合わせ、城の上空にドローンで3Dの形を描く独特の視覚体験を作り出すと説明されています(参照*13)。専門メディアのMiceChatでも、ドローン、噴水、花火、プロジェクション、スポットライトの組み合わせや、メインストリートUSAへのプロジェクションマッピング追加が紹介されています(参照*14)。

ドローンとプロジェクションマッピングの組み合わせは、既存の花火ショーを置き換えるのではなく、演出の層を一段増やす方向で進化しています。投入されている機材の点数や種類を見ることで、体験の厚みを推し量れます。


インタラクティブ・デバイスの拡張

テクノロジーによる進化は、来場者自身が持つ道具の側にも広がっています。

スーパー・ニンテンドー・ワールドでは、体験と連動するデバイス活用が広がっています。「パワーアップバンド」を使うことで、インタラクティブなアクティビティで遊んだり、アトラクションでデジタルスタンプを集めたりできます(参照*4)。

こうしたデバイスは、パークを一方向のショーから、ゲームのように能動的に遊ぶ場へと変えていきます。トレンドを見比べる際は、リストバンドやアプリなど、来場者側の道具がどれだけ体験と結びついているかが指標になります。


トレンド4: 待ち時間・来園体験のDX化


有料ファストパスと事前計画型サービス

海外テーマパークでは、待ち時間を短縮する仕組みの高度化が大きなトレンドになっています。

ウォルト・ディズニー・ワールドでは、事前計画型の仕組みがより明確になりました。ディズニー・ジーニープラスは「ライトニング・レーン・マルチパス」に、個別のライトニング・レーンは「ライトニング・レーン・シングルパス」に名称が変更されました(参照*15)。中東の事例でも、キディヤ・シティのアクアラビアでは、行列を回避したい来園者向けに「アクアファスト・パス」が用意される予定です(参照*6)。

予約日数の差や有料オプションの設計は、来園前からスマートフォンで計画するデジタル化(DX)の流れを反映しています。パーク選びの段階で、事前計画の仕組みそのものを比較する視点が役立ちます。


客単価向上を狙う収益モデルの変化

海外テーマパークの進化は、収益構造の変化にもはっきり現れています。

客単価を伸ばす動きは、業界全体の売上トレンドとしても見られます。多くの運営者が1人当たりの支出増加を報告しており、1回あたりの支出額だけでなく購入回数も増えていることから、今後の成長戦略に影響するトレンドが指摘されています(参照*1)。

これらは、入園料だけに頼らず、有料オプションや高付加価値の場所を積み上げて客単価を伸ばす発想の広がりを示します。トレンドを読むときは、来場者数の増減だけでなく、何が有料化されているかにも注目すると変化が見えやすくなります。


トレンド5: サステナビリティと業界表彰


IAAPAが掲げる3つのサステナビリティ

海外テーマパークの進化は、環境や社会への配慮という長期的な視点へも広がっています。

IAAPAは、サステナビリティを3つの側面で整理しています。自然と資源を守る「環境」、人とコミュニティを大切にする「社会」、長期的な財務の安定を確保する「経済」という、相互に結びついた3つの側面です。さらに、サステナビリティはアトラクション業界の未来にとって重要な要素と位置づけています(参照*16)。

3つの側面が並列に扱われている点は、単に環境対策の話ではなく、地域との関係や経営の持続性まで含めた枠組みだと分かります。トレンドを追うときは、サステナビリティの言葉の中身を、この3軸で分けて確認する視点が役立ちます。


アプローズ・アワードに見る評価軸

業界表彰の内容を見ると、海外テーマパークがどのような方向に評価されているかが分かります。

2025年の表彰では、没入性や革新性が主要な評価軸として示されました。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは2025年のアプローズ・アワードを受賞し、没入的で革新的な来園体験の創出と、テーマパーク・エンターテインメントの新たな基準づくりが評価されました(参照*17)。TEAのティア・アワードでは、テーマパーク部門でLEGOLAND上海、テーマパーク・ランド部門でエピック・ユニバースの「ヒックとドラゴン 島バーク」、ライド体験部門で「ハリー・ポッター・アンド・ザ・バトル・アット・ザ・ミニストリー」が受賞対象となりました(参照*11)。

受賞対象の顔ぶれは、パーク単位、ランド単位、ライド単位それぞれで没入と革新が評価されていることを示します。トレンドの5選を振り返るうえでも、賞のカテゴリごとに何が選ばれているかを見る視点は有効です。


おわりに

海外テーマパークの進化を、新規開業、IPによる没入型ランド化、テクノロジー、来園体験のDX、サステナビリティと表彰という5つの角度から見てきました。市場は成熟地域と成長地域で異なる伸び方を示しながら、パークごとに独自の進め方でトレンドを取り込んでいます。

5選をひとつずつ深掘りするより、複数のトレンドをつなげて読むと、パーク選びやコンテンツ理解の視点が広がります。行き先を検討するときは、開業時期、IP、演出、事前計画の仕組み、受賞歴などを合わせて確認すると全体像をつかみやすくなります。


参照

(*1) AECOM – Theme parks, water parks and museums close the chapter on recovery and look to the future in the 2023 edition of TEA and AECOM’s global attraction attendance report, presented by Storyland Studios

(*2) Official Release of the 2024 TEA Global Experience Index™

(*3) dpost.jp – 日本は円安により観光客が大量に流入–TEA Global Experience Index 2024年版公開

(*4)Press Releases, Photos and Media Kits for Universal Orlando Resort™ – Press Releases Archive for Universal Orlando Resort™

(*5)Press Releases, Photos and Media Kits for Universal Orlando Resort™ – Press Releases Archive for Universal Orlando Resort™

(*6)SaudiPressAgency – Aquarabia Qiddiya City Officially Welcomes Visitors on April 23, 2026

(*7)Universal Destinations & Experiences – Introducing Universal Epic Universe, the Company’s Most Ambitious Theme Park to Date

(*8)Disney Experiences – New & Upcoming Disney Experiences Expansions, Attractions, & More

(*9)ニッセイ基礎研究所 – 完全没入型テーマパーク“Universal Epic Universe” いよいよ5月22日オープン-今日もまたエンタメの話を。(第3話)

(*10)DisneylandParis News – Adventure on a Grand Scale • DisneylandParis News

(*11)32nd Annual Thea Award Recipients Announcement

(*12)DisneylandParis News – Behind the scenes of Disney Tales of Magic

(*13)DisneylandParis News – Disneyland Paris unveils iconic and immersive nighttime spectacular

(*14)MiceChat – Disneyland Paris Debuts “Disney Tales of Magic” A Dazzling New Nighttime Spectacular

(*15)Disney Parks Blog – Updates Coming to Lightning Lane Entry at Walt Disney World

(*16)IAAPA.org – Sustainability Commitment | About Us | IAAPA.org

(*17)Universal Destinations & Experiences – Asia’s Most Attended* Theme Park, Universal Studios Japan Wins Industry’s Highest Honor: The Prestigious “2025 Applause Award”